コンプリート・ジーニアス・オブ・モダン・ミュージック Vol.3&ミルト・ジャクソン
Murphy:「ジャズを初めて聴く人、モダンジャズの入門として、たった一枚のアルバムを選ぶなら、Djangoくんはどれを選ぶ?」
Django:「入門編だからといって、中途半端なものは選びたくないね。入門だからこそ、これぞモダンジャズの決定版!というものを選ばないと。でないと、次から聴かなくなるからね。でも、いつでも店頭にならんでいる超名盤と称されるものは敢えてさけたい。
そこで、ヴィンテージ盤というか、いつまでも色あせない、これぞモダンジャズの原点として、とっておきのアルバムを紹介しよう。
ブルーノートレーベルの5011番。アルバムタイトルは、"コンプリート・ジーニアス・オブ・モダン・ミュージック Vol.3&ミルト・ジャクソン / WIZARD OF VIBES"。実はこのアルバム、2つのセッションをカップリングしたもの。1つは、モダン・ジャズ・カルテット(MJQ)の母体ともなった1952年のセッション。メンバーを紹介すると、ミルト・ジャクソン(vib)、ルー・ドナルドソン(as)、ジョン・ルイス(p)、パーシー・ヒース(b)、ケニー・クラーク(dms)。このメンバーを見てわかるように、後のMJQレジュラーメンバーにルー・ドナルドソンが加わっている。ここがポイント。
2つ目は、1948年のセロニアス・モンクとの歴史的な共演。メンバーは、ミルト・ジャクソン(vib)、セロニアス・モンク(p)、ジョン・シモンズ(b)、シャドウ・ウィルソ(dms)。」
M:「アルバムジャケットもいいね。」
D:「特にブルーノート5000番台のジャケットデザインは実にいい味が出ている。ところで、このアルバムは、2つのセッションを通していずれの演奏も素晴らしく、すべてが決定的名演だと思うが、あえて1曲選ぼう。その曲は、ジャズ・スタンダード屈指の名曲として、多くのミュージシャンに愛されている曲。ホワッツ・ニュー(What's New?)。Bob Haggartによる1939年の作曲。
へレン・メリルがクリフォード・ブラウンをバックにこの曲を吹き込んだアルバムは有名。他にパーカー、ファッツ・ナバロ、ビル・エバンスなどがこの曲の名演を残している。ミルト・ジャクソンのこのアルバムでの演奏も、実に味わい深い演奏だ。誰が聴いても、冒頭からのあの何とも言えない独特の香りに酔いしれることまちがいなし。」
M:「ミルト・ジャクソンといえば、バグス・グルーブが有名だけど、ここでの演奏はどう?」
D:「MJQの多くのアルバムにこの曲を吹き込んでいるけど、ここでは、アルトサックスのルー・ドナルドソンが加わっているから、実に新鮮。一段と充実している。
それにしても、ブルーノートRVGセレクション、リマスター技術により随分音がよくなったものだ。録音年月日が古いからといって敬遠する人がいれば、是非一度聴いてもらいたいね。先入観が変わるよ。ブルーノートは5000番台がいい!
初めてジャズに接する人、クラシック好きの人、ジャズを少しでも聴いてみたいと思ったことのある人、ヴィンテージ風の味わいを求めている人、全17曲モダンジャズの醍醐味がぎっしり詰まった、このアルバムからスタートです。」
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