Django:「今回は、50年代後半の、ジャズプレーヤー自らが作った曲のなかから選曲したんだけど。」
Murphy:「50年代後半といえば、ハードバップからファンキージャズ全盛時代だね。」
D:「そう。その時代、ニューヨークの多くのライブハウスで連日連夜、名演奏が繰り広げられたようだけど。そのなかの有名ジャズスポットのひとつに「ファイブスポット」という店があったんだ。そこで、一日の演奏が終わり、閉店前のラストに演奏された曲が、今回採り上げる、ファイブスポット・アフターダークという曲」。
M:「ああ、その曲知っているよ。確かテレビCMでも流れていたね。その時、カッコイイ曲だなあと思ったけど。誰の作曲?」
D:「ベニー・ゴルソンという人。ゴルソンは、作曲・編曲にも優れた能力をもつ、テナーサックス奏者なんだ。」
M:「ああ、ベニーゴルソンか。」
D:「Murphyくん知ってるの?」
M:「うん。何年か前に、大阪のブルーノートにロンカーターが来たとき、そのメンバーのなかに、ベニー・ゴルソンがいたよ。」
D:「そう。その人だよ。この曲を含め、1959年にサヴォイ(Savoy)レーベルからリリースされたアルバムが、「ブルースエット」。パーソネルは、カーティス・フラー (トロンボーン), ベニー・ゴルソン (テナーサックス), トミー・フラナガン (ピアノ), ジミー・ギャリソン (ベース), アル・ヘイウッド (ドラムス) 。」
M:「あのメロディー、シンプルで、一度聴いたら忘れられないね。トロンボーンが加わり、厚みのある実にほのぼのとしたサウンドだなあ。」
D:「このアルバムにはじめて触れた時、「ジャズを聴いてて本当によかった!」と、多くのジャズファンが思ったそうだよ。名サポート役のトミー・フラナガンも参加しているよ。このアルバム、どの曲も素晴らしいんだ。」
M:「Djangoくん。実はぼくも、このアルバムを聴いてジャズが好きになったんだ。」
D:「そうだったのか。このアルバムからサヴォイレーベルに興味を持ち、サヴォイのファンになった人も多いよ。ジャズは、レーベルごとに特徴を持ち、CDを選ぶ時、アーティストもさることながら、レーベルで選ぶと、全く聴いたことのないアルバムでも、およその見当がつき、買って聴いてみて、自分の予想が当たることが多いんだ。ブルーノート、サヴォイ、プレスティッジ、リバーサイド、コンテンポラリー、パシフィックなど、レーベルごとに特徴を持っている。レーベルの特徴がわかってくるとますます面白くなってくるね。」
◇◇◇
アルバム「ブルースエット」は、サヴォイ(SAVOY)レーベルから発売された。サヴォイは、「ブルーノート」や「プレスティッジ」とならんで、モダン・ジャズの黄金時代に数々の名アルバムをリリースしてきた。40年代のパーカーやガレスピーなどのビバップの決定的名演奏は特に有名。50年代以降のサヴォイは、ミルト・ジャクソン(vib)の「オパス・デ・ジャズ」、ケニー・クラーク(ds)の「ボヘミア・アフター・ダーク」、アート・ペッパー(as)の「サーフ・ライド」、ハンク・ジョーンズ(p)の「ハンク・ジョーンズ・カルテット&クインテット」など、数々の名アルバムをリリース。サヴォイ盤は、一言でいえば、"Good Tasts"(趣味の良さ)であり、ジャズも持つ、スイング感、リラックス感に満ちた演奏が多い。
ブルースエット
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