Django:「今回は、もともと映画音楽なんだけど、ジャズスタンダードとして演奏されている曲を選びました。ジャズ・スタンダードといわれる曲は、素晴らしいものがたくさんあるんだけど、原曲はミュージカルや映画音楽のために作曲されたものが多いんだ。」
Murphy:「そうだね。特に最近は、ジャズ・スタンダードがよく演奏されるようになったね。ボクにとっては、大変ありがたいね。メロディーがきれいだしね。ところで、曲はなに?。」
D:「今回の曲は、ジャズプレーヤーの間ではそれほど頻繁に演奏されないかも知れないけど。でも、みんなが知っている曲だよ。Murphy君、映画「カサブランカ」の主題曲知っている?」
M:「ああ、知っているよ。「時の過ぎゆくままに」、英語で言えば、"As Time Goes By"だったかな。」
D:「そのとおり。それが今回選んだ曲です。この曲、ただメロディーラインを演奏しているだけでも、ジャズプレーヤーの手にかかると、見事にジャズになってしまう。実は、この曲の素敵な演奏を最近聴いたんだ。」
M:「へえー。興味あるなあ。誰の演奏?」
D:「あまり日本では知られていないんだけど、スイート・ジャズ・トリオというスウェーデンのグループの最新のCDなんだ。コルネットとギターとベースのトリオ。このアルバムのタイトルが、「時の過ぎゆくままに」で、アルバムの1曲目に入っている。アルバムを通して全曲スタンダード・ナンバーばかり。他に、ホーギー・カーマイケルの「スターダスト」や、ビリー・ホリデイの名唱で有名な「君を見つめて」などが入っている。どれも心温まる演奏で、実によく歌っている。演奏に、これといって新しい試みはみられないんだけど、大人のジャズといった感じで、引きつけられるね。北欧らしい静かなムードのなかで、コルネットの渋くて深い音色に、温かみのあるギターがとけ込み、素晴らしいテイストの室内楽サウンドに仕上がっているんだ。」
M:「聴きやすそうだね。ジャズが初めての人でも大丈夫?」
D:「全くのジャズ初心者でも、おそらく、このアルバムは受け入れられると思うよ。ワイン片手に聴けば、上質のジャズバーにいる気分だね。また、演奏に深みがあるから、ベテランの人にも好まれそうだよ。」
M:「北欧のジャズということと、コルネットとギターとベースの組み合わせが新鮮だね。ドラムが入ってないから、余計に落ち着くんじゃないかな。」
D:「そう。原曲を大切に、心を込めて歌っており、聴き手に北欧ジャズ特有の心地よいリラクゼーションをもたらしてくれるという感じ。」
◇◇◇
スイート・ジャズ・トリオ(Sweet Jazz Trio)のパーソネルは、ラッセ・トゥーンクヴィスト:コルネット、マッツ・ラーション:ギター、ハンス・バッケンロス:ダブルベース。このグループのデビュー版は2002年でアルバム名は、「ソフト・サウンド・フロム・ア・ブルー・コルネット(Soft sound from a blue cornet)」。2005年には、「マイ・ロマンス"-スタンダード・コレクションVol.1("My Romance" -Standard Collection Vol.1」がリリースされている。
発売元は、Spice of Lifeという会社で、スウェーデン・ジャズやハワイミュージックなど大人の音楽を扱うユニークなレコードレーベル。
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