【フルいカメラ】の紹介 第一弾は、アグファ・ジレッテ(Agfa Silette)。
アグファはドイツの大手フィルムメーカーだった。そのフィルムメーカーがカメラを作った。コダック、フジも。フィルムメーカー製のカメラは、総じて使いやすい。性能もいい。
ドイツのアグファは実に多くの機種を発売した。ライカやツァイスほど高額ではなかった。一流といわれるほどのブランド力も持たなかった。差し詰め一流半といったところか。いわゆる実用機に徹していた。あこがれの機種というよりは、普通のカメラだった。
でも、案外普通のカメラって、使いやすい。いわゆる普段使いに最適だ。あまり高級なカメラだと、カメラの存在を意識しすぎて、なんとなく肩に力が入ってしまう。「肩のこらないカメラ」、これがアグファです。
アグファのジレッテは、多くのシリーズを発売した。そのなかでも距離計がついていない初期のジレッテがいい。どうしてかって? 目測カメラだから。距離計があると、ついファインダーを覗いて二重像を合わせてしまう。最初からついていなかったら潔くあきらめられる。
「目測?不便ではないですか?」って、どこからともなく聞こえてきそう。でも、正直にいって、慣れると全く不便を感じない。よほど近距離で写すなら別だけど。少し写真をやっている人ならみんな知っている被写界深度を頭に入れておけば簡単だ。この時代の目測カメラは、大概レンズの距離目盛りの数字が2〜3カ所赤字になっている。この赤字に合わせればよい。普段街角で、近くなら3m、遠くなら10m。これでほとんどの場合OKだ。ファインダーの見えもいい。
目測カメラに慣れると、今のオートフォーカスカメラなんて、反応が鈍く、スナップショットには向かないことを痛感してしまう。シャッター押した瞬間に写ること。このことがいかに心地よいか。ジレッテのシャッターの感触はなかなかいい。巻き上げて、また押したくなる。
目測カメラはシャッターチャンスを逃さない。「写リハ ドウデスカ?」 ジレッテに限らずこの頃のアグファのカメラは、みんなよく「写るんです」。
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