撮影Data:RICOH GXR + S10 24-72mm F2.5-4.4VC
50mm (10.5mm) 1/52 F3.5 ISO141
GXRはカメラユニット交換式だから、フォーカス性能もユニットごとに変わる。でも、今後おそらくどのユニットもフォーカス方式はコントラストAFを採用するだろう。おそらくそうだろうというのは、他に方式があるからだ。実は、リコーはGX100の時には、ハイブリッドAFシステムを採用した。しかし今回のGXRは同じレンズ構成ながら、コントラストAF方式だった。
オリンパスやパナソニックのミラーレス一眼レフはすべてコントラストAF方式。もちろん現時点でのすべてのコンパクトデジカメはコントラストAF方式。ところがこれがなかなか厄介な問題をかかえている。それはAFスピードの問題。小さな撮像素子(1/1.7や1/2.3)の場合、現在ではこの方式で実用十分なスピードを確保できるが、APSクラスのセンサーになると、レンズの駆動幅が格段に大きくなり、現状では十分なスピードに至っていない。APSよりも小さなマイクロフォーサーズでもオリンパスのEP-1、EP-2などはAFレスポンスが相当遅い。このあたりのAFを実感すると、動きのあるものはまだまだ無理だと思うのも当然だ。
GXRのS10カメラユニットは、1/1.7CCDだから、コントラストAF方式で十分なスピードを確保できている。実感としてかなり速い。GX100が発売されたのは2007年だから、ここ2年の間にあえてハイブリッドAFシステムにしなくてもコントラストAF方式単独で十分な速度に達したといえる。しかし、GXR用のAPSサイズカメラユニット(50mm単焦点)の方は、それほど速くはない。
ここで、復習すると初代GRデジタルやGX100で採用されたリコー独自のハイブリッドAFシステムとは、いったいどのような方式だったのか。この方式は、外光パッシブAF方式と、CCD-AF方式(コントラストAFのこと)の2つの測距方式を備えたもの。いわばお互いの長所をかけあわせたものだ。CCD-AF方式は、レンズを徐々にスキャンしながら、コントラストのピーク位置を検出する方式。このやり方は正確なピント合わせはできるが時間がかかる。それに対し、外光パッシブAF方式は外部センサーを通して常時被写体までの距離を測るので、スピードは圧倒的に速い。しかし正確さにおいてはCCD-AF方式に一歩譲る。この二つの方式を用いて、まず外光パッシブAF方式である程度のところまでピントを合わせ、その後CCD-AF方式で微調整をするというやり方が、リコーのハイブリッドAF方式だった。今後、GXR用のカメラユニットでAPSサイズの大きなセンサーを用いるものには、このハイブリッドAF方式を搭載してくることは、場合によっては十分あり得ることだ。
GXR発売と同時にリリースされた2つのカメラユニットのうち、新設計のGR LENS A12 50mm F2.5 MACROの方は、APSサイズ。AF方式は、コントラストAF方式。ハイブリッドAFは採用していない。したがって1/1.7CCD内蔵のS10カメラユニットに比べると、AFレスポンスの低下は免れない。そこで、マニュアルフォーカスリングを装備した。ここがおそらくポイントだろう。
撮りたい瞬間を逃したくない。マニュアルフォーカスカメラのように、押した瞬間にシャッターが切れる。このシャッターレスポンスのタイムラグが最小限であることは、カメラに求める性能のなかで、本当のことをいえば一番トップにあげたい要望だ。実はGXRには、フルプレス•スナップ機能というものがある。これはシャッターボタンを一気に押すと、AF動作をスキップし即座にレリーズする機能。もちろんその時のフォーカス距離はあらかじめ設定しておかなければならないが。GXRはそのフォーカス距離をかなり細かく設定できるようになった。日中屋外でのスナップショットなら5mに合わせておけば、おそらく大きくフォーカスをはずすことはないだろう。このあたりの地味な機能を持っていることが、GXRの製品開発コンセプトの確かさを物語っている。
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