Django:「今月の新譜で素晴らしいアルバムがリリースされたので、Murphyくんに紹介しよう。その前に、ビリー・ストレイホーン(Billy Strayhorn)という人知っている?」
Murphy:「知っているよ。前回出てきたエリントン楽団のA列車で行こうを作曲した人だろう。」
D:「そのとおり。このビリー・ストレイホーンの作曲した数々の名曲を、ブルーノート・アーティスト達により新録されたアルバムが東芝EMI(BlueNoteレーベル)より4/11に国内リリースされた(輸入版は既に1/23リリース)。スペシャル・ゲストに、あのピアノの名匠、ハンク・ジョーンズが参加。アルバムタイトルは、ラッシュ・ライフ(Lush Life)。」
M:「ラッシュ・ライフといえば、以前にDjangoくんが紹介してくれた、ガンバリーニもアルバムを出していたね。」
D:「そう。ラッシュ・ライフは、1938年にストレイホーンがエリントン楽団に入る前に書いた曲で、エリントン楽団入団オーディションのための曲だったといわれている。いわばストレイホーンの出世曲だといえる。さすがに名曲だけあって、ナット・コールをはじめ、エラ・フィッツジェラルド、サラ・ヴォーン、カーメン・マクレイなど、多くの歌手が歌っている。彼の作曲したなかで一二を争う人気曲。
ストレイホーンは、この曲を書いてエリントンに認められ、以後エリントンの片腕として、次々と傑作を発表した。前回採り上げた、A列車で行こう、サテン・ドール、日本語で雨切符と訳されているレイン・チェック、チェルシーの橋などいずれも40年代以降のエリントン楽団の代表作。
エリントンの片腕、ストレイホーンは、残念ながら1967年に亡くなった。今年の5月はちょうどストレイホン没後40年にあたる。実は、昨年、アメリカでストレイホーンの90分ドキュメンタリーフィルムが作られたが、このアルバムはそのサウンドトラック版。」
M:「ラッシュ・ライフは誰が歌っているの?」
D:「ダイアン・リーブス(Dianne Reeves)。ラッセル・マローン(Russell Malone)のギター伴奏一本で歌っている。ラッセル・マローンといえば、NYで現在、ピーター・バーンスタインと並んで人気のギタリスト。あと、4曲目に入っている名曲サテン・ドール は、ハンク・ジョーンズ(Hank Jones)のピアノソロ。他に、ビル・シャーラップ(Bill Charlap)が、ファンタスティック・リズム、トンク、ヴァルスの各曲でピアノソロを担当。このあたりを聴いただけで、いかにこのアルバムが魅力的で、貴重なアルバムであるかがわかる。 とにかく久々の永久保存版ともいえる内容の深い傑作だ。」
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Billy Strayhorn: Lush Life / Blue Note 2007年新譜
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