Murphy:「前回の「エラ&ルイ」のアルバム、とても気に入っているよ。」
Django:「それはよかった。たぶんハワイ好きのMurphyくんの好みだと思っていたんだ。」
M:「ところで、ジャズ・ヴォーカルの分野で、最近の若い人はどうなの? 女性シンガーの新人で誰かおすすめの人いる?」
D:「そうだなあ。今注目の若手新人の一人に、イタリア出身のロバータ・ガンバリーニという女性がいるよ。」
M:「なに、ガンバリーニ? おもしろい名前だね。」
D:「ガンバリーニっていうだけあって、ステージでとてもガンバルんだ。」
M:「本当? Djangoくん、ライブで聴いたことあるの?」
D:「うん。昨年(2006年秋)の富士通コンコード・ジャズ・フェスティバルで来日したんだ。そのライブを聴いて、相当な実力の持ち主だと思ったね。」
M:「どんな感じ?」
D:「原曲の持ち味をくずさずに、心を込めて歌う人だね。それと、的確な音程で、楽器の物真似ができるんだ。トランペットとかの。」
M:「へえー、おもしろそうだね。本当にトランペットのような音がするの?」
D:「かなり忠実だよ。たぶんMurphyくんが聴いたら驚くだろうな。」
M:「トランペットのように歌って、アドリブをするってこと?」
D:「そう。お得意の曲が、 「明るい表通りで(On the Sunny Side of the Street)」という明るくて楽しい曲、Murphyくん、知ってる?」
M:「知ってるよ。この曲を聴くと元気が出るんだから。スイング時代からよく演奏されていた曲だね。確か、ディジー・ガレスピーもアルバム出してなかった?」
D:「Murphyくん、よく知ってるね。楽しい曲は得意だもんな。その通り。ディジーもアルバム出してたね。「Sonny Side Up」というタイトルで。これ、ディジー・ガレスピーに、ソニー・スティットとソニーロリンズが加わり、二人の「ソニー」から、シャレで、「Sunny」を「Sony」にしたんだ。」
M:「Djangoくん、ボク、このアルバム大好きなんだ。ガレスピーが陽気に歌っているしね。」
D:「そう。実はね。Murphyくん、この間のライブで、ガンバリーニが、このアルバムに入っている3人のフレーズをそのまま引用して歌っていたんだよ。驚いたね! 確か、どこかで聴いたフレーズだと思って、家に帰って、ひょっとしてディジーのアルバムではないかと思い、CDをかけてみたら、そのものズバリだった。」
M:「へえー。それはぜひ聴いてみたいね。」
D:「この曲の入った、ガンバリーニのアルバムが出ているよ。「Easy To Love」というタイトル。ボクもこのアルバム、ライブに行くまでは知らなかったんだけど、2日目に会場で買ったんだ。スイング・ジャーナルのディスク大賞にも選ばれている。」
M:「Djangoくん、サインしてもらった?」
D:「もちろん。飾らずフランクで親しみやすそうな人だった。"明るい表情で”「ガンバリまーす!」って言ってたね。」
◇◇◇
ロバータ・ガンバリーニ(Roberta Gambarini)の「Easy To love」は、 グラミー賞にもノミネートされた。2004年6月録音。
ディジー・ガレスピー(Dizzy Gillespie)の「Sonny Side Up」は、ノーマン・グランツのプロデュースでVerveからリリースされている。ディジーのヴォーカルも加わり、楽しさ満点。迫力満点。1957年12月録音。
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