撮影Data:RICOH GXR + S10 24-72mm F2.5-4.4VC
50mm (10.5mm), 1/176 sec, F4.9, ISO100
GXR発売当初、雑誌でその姿を見て、デザイン面では特に惹かれるものはなかった。その後店頭で実際に見てみると、ずいぶん無骨だなあと思った。このところミラーレス一眼がファッショナブルになり、女性を意識したデザインが目につくようになった。LUMIXやIXYなど、明らかに女性をターゲットにした戦略商品だ。今どきのカメラは、カラーバリエーションは当たり前。光沢があり塗装はなかなか凝っている。そんななかで、GXRを見ると、実に地味だ。色は黒一色つや消し。光り物は皆無。
リコーのGRデジタルのように、マグネシウム合金、つや消しブラック一色でまとめられ、カメラとしての道具感を全面的に打ち出したものは最近ではほとんど見なくなってしまった。しかもレンズや撮像素子、画像処理エンジンなどはバージョンアップしても基本的な形状は全く変えていない。大半のデジカメはモデルチェンジのたびに外観を変え新しさを打ち出そうとする。しかし、GRデジタルは頑にその形状を守る。
そうしたGRデジタルと同じコンセプトで、全面的に道具感を打ち出そうとしたのが今度のGXRだ。購入時点でも再度この無骨さを感じてしまった。GRデジタルほどスマートなデザインではない。なんとなくドボッとしている。一見して惹かれる形状ではない。このデザインが、実は購入時に引っかかった。
しかし、購入後、ストラップを装着してGXRを首からぶら下げ、撮影を始めてから、これはひょっとして将来名機と呼ばれる資質を持った、相当優れたデザインではないか?とふと思った。右手のグリップがいい。右手の親指がラバーにピタッと定着する。GXRはボディとカメラユニットの合体で1台のカメラとして成り立つ。ボディもカメラユニットもマグネシウム合金製。合体のためのジョイントは実に精巧にできている。合体後の一体感がすばらしい。全くガタがない。手にしてみるとGXRは大変剛性感に満ちていることがわかる。コンパクトデジカメでこれほどしっかりしたカメラは、他に見当たらない。GXRは手にして撮影を始めたときに、その手先からこのカメラのよさがジワッと伝わってくる不思議な魅力を持っている。いつまでも手に持っていたくなるカメラだ。
コメント