ジャズのCDを聴くには、オーディオ装置が必要です。ラジカセからコンポに至るまでオーディオ装置のレベルは様々です。パソコンで聴く人も増えています。また、iPodやウォークマンなどを使えば屋外で音楽を聴くこともできます。カーオーディオもあります。音楽はどこでも気軽に聴けるようになり、これまで以上に生活のなかに溶け込むようになりました。
そういったなかで私がおすすめしたいのは、ヘッドフォンで聴くだけでなく、是非スピーカーから音を出して聴いてほしいということです。以前は当たり前のことだったのですが、あえてこのことを言わなければならない時代になりました。普段室内でスピーカーから音を出して聴いている人が、外出どきにヘッドフォンで聴くというのはまったく問題ないと思いますが、ヘッドフォンでしか聴かないとなると、少々問題です。音に対する受け止め方が変わってくると思われます。どこかで鳴っている音をこちらが受け止めるというのが基本であり、そこには空間を介在させることが大切です。ヘッドフォンは頭の中、あるいはその周囲で直接鳴り響くので、どうしても不自然な聴き方になります。結果として評価が変わってくる場合があります。
オーディオ装置は、上を見ればきりがないほど、音質、価格ともに幅があります。入門には、3万程度のラジカセや、パソコン、iPadなどの接続用スピーカーで十分だと思います。但し、ジャズは低音がかなり大切なので、できればベース音がある程度表現できるものがよいでしょう。オーディオを変えてみてそのCDの評価ががらりと変わってしまうということもあります。40万円のオーディオ装置を持ちながらCDのストックが20枚だけより、5万円のミニコンポでありながら、200枚のCDを持つ方を私は選びます。でも、実際には200枚以上ストックする人はきっとオーディオにもその内こだわるでしょう。
では、実際にどのくらいの予算のオーディオを持てば、ある程度ジャズを満足して聴けるかというと、50年代のブルーノートやプレスティッジ、リバーサイドなどを想定して考えると、やはり10万ぐらいが一つの基準になるでしょう。しかし工夫を凝らせば5万円でも可能だと思います。